刃物のおはなし(尾上卓生・矢野宏共著)
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刃物のはなし 169頁(2) 刃先の性能の項目で"小刃"(こば)話のなかで興味をひいたのが『昔話になりますが、銭湯で100円カミソリと呼ばれる使い捨てかみそりで、ひげを剃るといつのまにか小さい血玉が吹き出していることにびっくりした経験をもつ方もいるのではないでしょうか、鋭すぎる刃が皮膚を傷つけたのです、紙を切ったり、木を削る場合には食い込みが大きい方が良いのですが、この性能は刃物素材の刃先形成能力と、刃先加工能力に左右されるのです。写真4.18には、同じ部分を写してありますが、使用後です。刃全体の汚れと、10μmぐらいであった凹み欠部が20μmぐらいに欠け落ち、刃先全体が5μm前後の凹凸に変化しているのが観察されます。つまり、人のひげは同じ径の銅線ぐらいの強度を持っていて、それを刈り取るために刃先が部分的に欠落したのです。この状態で顔を剃ると痛くて、皮膚を傷つけてしまう危険があります。』